「生成した画像は完璧なのに、顔だけ崩れてしまった」「目の位置がおかしいけど、全体を再生成すると他の部分まで変わってしまう」と困った経験はありませんか。
Stable DiffusionのInpainting機能を使えば、画像の特定部分だけをピンポイントで修正できます。全体を再生成する必要がないため、気に入っている部分はそのまま残しつつ、崩れた顔だけを自然に修復できるのが最大の利点です。
この記事では、Inpaintingの基本的な仕組みから、顔修正のための具体的な手順・パラメータ設定・精度を上げるテクニックまで網羅的に解説します。公式情報はStability AI公式サイトでもご確認いただけます。
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Inpaintingとは?基本の仕組み
Inpaintingは「塗りつぶし修復」を意味する機能です。画像の一部をマスク(塗りつぶし)で指定し、その部分だけをAIに再生成させる技術です。
Stable DiffusionのWebUI(AUTOMATIC1111やForge)では、img2imgタブ内にInpainting機能が搭載されています。操作の基本は「修正したい部分をブラシで塗る → プロンプトを入力 → 生成」の3ステップです。非常にシンプルですが、パラメータの調整次第で仕上がりの品質が大きく変わります。
Inpaintingが特に威力を発揮するのは、画像の大部分は理想通りなのに一部だけが微妙というシーンです。全体を再生成するとランダム性により良い部分まで変わってしまいますが、Inpaintingなら修正箇所だけに介入できます。
Inpaintingで顔修正する具体的な手順
ここからは実際の操作手順を5ステップで解説します。
手順1:WebUIのimg2img → Inpaintタブを開く
AUTOMATIC1111の場合、上部メニューから「img2img」を選択し、サブタブの「Inpaint」をクリックします。修正したい画像をアップロードしてください。
手順2:顔の部分をマスクで塗る
ブラシツールで顔の部分を塗りつぶします。ここでのポイントは、顔よりやや広めにマスクを塗ることです。顔ぴったりにマスクを塗ると境界が不自然になるため、額の上・あごの下・耳の周辺まで含めて塗りましょう。
ブラシサイズは画像の解像度に合わせて調整します。512×512の画像なら、ブラシサイズ30〜50くらいが目安です。
手順3:Inpainting設定を調整する
顔修正において重要な設定項目は以下のとおりです。
- Mask blur:4〜8(マスクの境界をぼかす。高いほど周囲となじむ)
- Inpaint area:「Only masked」を選択(マスク部分のみ再生成)
- Only masked padding:32〜64 pixels(マスク周辺のコンテキストをどれだけ参照するか)
- Denoising strength:0.4〜0.6(低いほど元画像に近い、高いほど大きく変化)
手順4:プロンプトを入力して生成
顔修正に特化したプロンプトを入力します。
ポジティブ:beautiful detailed face, symmetrical eyes, natural skin, perfect facial features, high quality
ネガティブ:deformed face, ugly, distorted eyes, asymmetrical, blurry, low quality
手順5:結果を確認して微調整
一発で理想通りの結果になることは稀です。Denoising strengthを少しずつ変えながら複数回生成して比較しましょう。0.4から始めて、変化が足りなければ0.5、0.6と段階的に上げていくのがおすすめです。

Inpaintingの主要パラメータ比較
各パラメータの推奨値と、値を変えたときの影響を一覧でまとめました。
| パラメータ | 推奨値(顔修正) | 低くすると | 高くすると |
|---|---|---|---|
| Denoising strength | 0.4〜0.6 | 元画像に近い(変化が小さい) | 大きく変化(元画像から離れる) |
| Mask blur | 4〜8 | 境界がくっきり(不自然になりやすい) | 境界がなめらか |
| Only masked padding | 32〜64 | マスク部分のみ参照 | 周辺を広く参照(整合性向上) |
| CFG Scale | 7〜12 | プロンプトへの忠実度が低い | プロンプトに強く従う |
| Sampling steps | 30〜50 | 高速だが品質が低い | 高品質だが時間がかかる |
顔修正ではDenoising strength 0.4〜0.6、Mask blur 6〜8の組み合わせが安定します。まずはこの範囲で試し、結果を見ながら微調整してください。
顔修正の精度を上げるテクニック
テクニック1:ADetailer拡張機能を使う
ADetailer(After Detailer)は、顔を自動検出してInpaintingを適用してくれる拡張機能です。手動でマスクを塗る手間なく、生成と同時に顔の修正が実行されます。
インストール方法:WebUIのExtensionsタブから「adetailer」で検索してインストールします。
おすすめ設定:Model → face_yolov8n.pt(顔検出モデル)、Denoising strength → 0.4、Inpaint width/height → 512×512
テクニック2:高解像度で生成してからInpainting
512×512で生成した画像の顔は情報量が少なく、修正の精度に限界があります。まずHires.fixやimg2imgで画像を高解像度にしてからInpaintingを行うと、顔のディテールが格段に向上します。
テクニック3:Inpaintingモデルを使う
通常のモデルでもInpaintingは可能ですが、Inpainting専用に学習されたモデル(例:sd-v1-5-inpainting.safetensors)を使うと、マスク境界の自然さが一段階上がります。
テクニック4:ControlNetと併用する
ControlNetのFace Restorationモジュールを併用すると、顔のパーツの位置関係を維持しながら品質だけを向上させることができます。特に目の位置のズレ修正に効果的です。
テクニック5:段階的に修正する
一度に完璧を目指すのではなく、「まず全体的な形を修正 → 次に細部を修正」と2段階で行うと失敗が減ります。1回目はDenoising strength 0.5で大まかに修正し、2回目は0.3で微調整するイメージです。

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顔以外にもInpaintingで修正できること
Inpaintingは顔修正だけのツールではありません。以下のような修正にも応用可能です。
- 手の指の修正:AIが苦手な指の数や形を部分的に修正
- 服装の変更:体の部分をマスクして別の服装を指定
- 背景の変更:キャラクター以外をマスクして背景だけ入れ替え
- 不要なオブジェクトの除去:消したい部分をマスクして背景で埋める
- 表情の変更:笑顔から真剣な表情への差し替えなど
よくある質問(FAQ)
Q. Inpaintingでマスクの境界が不自然になるのはなぜですか?
Mask blurの値が低すぎるか、マスクの範囲が狭すぎることが主な原因です。Mask blurを6〜8に上げ、マスクを顔より一回り大きく塗ってみてください。
Q. Denoising strengthはどの値がベストですか?
顔修正なら0.4〜0.6がおすすめです。0.3以下だとほぼ変化がなく、0.7以上だと顔が別人になるリスクがあります。まず0.4で試して段階的に上げていくのが安全です。
Q. SDXL(1024×1024)でもInpaintingは使えますか?
使えます。SDXLの方が解像度が高い分、顔のディテールが精細で修正精度も上がります。VRAM 8GB以上のGPUが必要ですが、結果はSD1.5より明らかに優れています。
Q. ComfyUIでもInpaintingはできますか?
可能です。ComfyUIではInpaintingのワークフローをノード単位で自由にカスタマイズでき、AUTOMATIC1111よりも柔軟な設定が可能です。ただし初期セットアップの難易度はやや高めです。
Q. クラウドサービスでInpaintingを使う方法はありますか?
RunDiffusion、Stability AI Platform、Google ColabなどでStable Diffusionを実行すれば、GPU非搭載のPCでもInpaintingが利用可能です。
Q. 実写風の顔もInpaintingで修正できますか?
可能です。ただし実写風の場合、不自然さが目立ちやすいため、Denoising strengthは0.3〜0.4の低めから始めるのが安全です。RealisticVisionなどの実写系モデルを使用するとより自然な結果が得られます。
まとめ:InpaintingはStable Diffusionの完成度を飛躍的に高める必須テクニック
この記事のポイントをまとめます。
- Inpaintingは画像の一部だけを修正・再生成する機能
- 顔修正はマスクを「やや広め」に塗るのがコツ
- Denoising strength 0.4〜0.6が顔修正のベストゾーン
- ADetailer拡張機能を使えば自動で顔修正が可能
- 高解像度化してからInpaintingを行うと精度が向上
- 顔だけでなく手・服装・背景の修正にも応用できる

Inpaintingは、Stable Diffusionを「画像を生成するツール」から「作品として完成させるツール」へと引き上げる必須テクニックです。最初はパラメータの調整に試行錯誤が必要ですが、コツをつかめば短時間で高品質な修正ができるようになります。
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